ヴィクトリア蒸溜所
Victoria Distillers
基本情報
| 所在地 | カナダ・ブリティッシュコロンビア州シドニー(9891 Seaport Place)[1][2] |
|---|---|
| 設立 | 2008年(旧名ヴィクトリア・スピリッツ)[2][3][4] |
| 所有者 | マイルストーン・ブランズ(米国。2022年6月に取得)[5][6] |
| 代表・マスターディスティラー | 代表ピーター・ハント、マスターディスティラーのフィル・ルクール(2026年9月時点)[1] |
| 蒸溜器 | 銅製ポットスチル(移転時に900リットル・蒸気加熱の蒸溜器を導入)[2][3][4] |
| 設備の特徴 | 蒸溜に使った水の熱を回収し、隣のシドニー・ピア・ホテルへ送る循環式の仕組み[2] |
| 主な銘柄 | エンプレス1908 ジン[1][7] |
| 見学 | ツアーはなし。テイスティングルームでカクテルや試飲を提供(2026年9月時点)[8][1] |
目次
ブドウ畑の納屋から始まった蒸溜所
ヴィクトリア蒸溜所は、2008年にカナダ・ブリティッシュコロンビア州で設立され、ブランドは自らを「カナダで最も古いアルチザン蒸溜所のひとつ」と紹介しています。[2]
当時の名前はヴィクトリア・スピリッツ。始まりは、有機栽培のブドウ畑にある納屋を改装した建物でした。ピーター・ハントはGin Foundryの取材に、毎朝まず薪を割り、その薪で蒸溜器を焚いていたと振り返っています。[4]
シドニーへ移る前の蒸溜所は、オールド・ウエスト・サーニッチ・ロード6170番地にあり、蒸溜器は薪で加熱する200リットルのものでした。地元紙Times Colonistによると、売却のころにつくっていたのは、レフト・コースト・ヘンプ・ウォッカ、ヴィクトリア・ジン、クレイグダロック・ウイスキー、カクテル用ビターズの「ツイステッド&ビター」です。従業員は5人でした。[9][10][3]
2015年の売却をきっかけに、シドニーの海辺へ移りました
2015年に持ち主が変わります。マーカー・グループがヴィクトリア・スピリッツを買い取ったのです。Times Colonistによると、売り手は引退を決めたブライアンとヴァレリーのマレー夫妻です。買い手のマーカー・グループはグラント・ロジャーズが率いる開発会社で、シドニー・ピア・ホテルを運営しています。ハントは残りました。肩書はマスターディスティラー兼ゼネラルマネージャーです。[11][9]
移転先は、シドニーのシーポート・プレイスにある約8,500平方フィート(約790平方メートル)の海沿いの建物です。シドニー・マリーナとショー海洋ディスカバリーセンターのあいだにあり、何年も空き家になっていました。マーカー・グループによると、移転は2016年5月です。移転を伝えたTimes Colonistの記事では、名前はすでにヴィクトリア・ディスティラーズに変わっています。[3][9][11]
蒸溜器も大きくなりました。移転に合わせて導入したのは、蒸気で加熱する900リットルのものです。つくったのは近隣のサーニッチトンにあるスペシフィック・メカニカル・システムズでした。ハントは地元紙に「前の蒸溜器は薪で焚く200リットル。大きな違いです」と話しています。Gin Foundryは2018年の記事で、この蒸溜器が6段の精溜部を備えていると伝えています。[3][4]
新しい建物では、まずジンとウォッカをつくり、ウイスキーはのちに加える計画で、テイスティングルームを設けて蒸溜の工程を見せるツアーも予定していたと、当時の記事は伝えています。ハントはこの事業を、根本のところで観光と結びついた商売だと語っていました。[3][9]
蒸溜の熱を、隣のホテルで使う
熱の行き先は隣のホテルです。蒸溜所は、蒸溜に使う水の熱を循環式の仕組みで回収し、地中熱の技術を使って隣のシドニー・ピア・ホテルへ送っています。ブランドによると、1回の蒸溜で約7,000リットルの水を節約し、85万BTU(英国熱量単位)の熱をホテルに渡しているそうです。[2]
つくり手たち
2026年9月時点の代表はピーター・ハント。10年にわたってバーテンダーやバーのマネージャーを経験し、分子生物学の修士号を持つ人物で、代表になる前の9年間はマスターディスティラーを務め、エンプレス1908を生んだチームを率いた一人です。[1]
マスターディスティラーのフィル・ルクールは、2010年からシドニーで働いており、入ったときの正社員はハントとルクールの2人だけでした。料理人・シェフとしての経験は20年以上になるといいます。ブランドは、ルクールがバンクーバー島の自然から着想を得ていると紹介しています。[1][2]
エンプレス1908の誕生と、2022年の売却
2016年、蒸溜所はフェアモント・エンプレス・ホテルのアフタヌーンティーに着想を得たジンづくりを始め、2017年にエンプレス1908 インディゴ ジンが生まれました。Gin Foundryによると、ハントがホテルのチームに話を持ちかけたことが始まりです。当時ホテルのバー「Q」では蒸溜所のヴィクトリア・ジンとオーケン・ジンがよく売れていたといいます。[12][4]
2022年6月、米国テキサス州オースティンのマイルストーン・ブランズが、ヴィクトリア蒸溜所と、米国でエンプレス1908を輸入していたアズーレ・スピリッツを取得しました。取得には、同年2月にバンクーバーで開いた瓶詰め施設も含まれ、両社の従業員はそのまま残りました。ハントも代表を続けています。マイルストーン・ブランズのCEOエリック・ドプキンスは、蒸溜所のチームがエンプレス1908を「世界水準のブランド」に育てたと述べました。[5][6]
伸びは急でした。マイルストーン・ブランズの発表によると、エンプレス1908は2017年の発売から世界で20万ケース以上を売り、2021年の販売は前年の2倍を超えました。同社は、カナダで売上1位のスーパープレミアム・ジンだと紹介しています。[5][6]
2026年9月時点で、蒸溜所のサイトにはエンプレス1908のインディゴ、エルダーフラワーローズ、キューカンバーレモン、カクテル ジン、オーケン ジンのほか、レフト・コースト・ヘンプ・ウォッカ、ウォッカ、シドニー・スパイスト、チョコレート・リキュール、ビター・ビアンカが並んでいます。2025年12月には、ルクールがつくったノンアルコールの0.0インディゴが米国で発売されました。[13][14]
米国では、インディゴに続く商品も発売されています。2024年5月に出たキューカンバーレモン ジンは度数42.5%で、ジュニパーベリー、レモン、ジャスミン、スターアニス、キュウリ、カルダモンなどを使います。ブランドがすすめるのは、キュウリのスライスとレモンを添えたトニック割りです。2026年5月には、蒸溜所の原点となったレシピのオリジナル ジンが初めて米国に登場しました。10種類のボタニカルをカナダの水と合わせたジンだと、ブランドは紹介しています。[15][16][17]
海外では、インディゴ ジンをカナダ、米国、バミューダ、日本、ニュージーランドなどで販売しているとブランドは説明しています。日本では輸入・卸売を手がける都光が扱い、2024年10月にはエルダーフラワーローズも発売しました(2026年9月時点)。[8][18][19][20]
訪ねるには
2026年9月時点で、見学ツアーはありません。ブランドによると、そのかわりに併設の店でカクテルや試飲を楽しめます。蒸溜所のサイトでは、テイスティングルームは水曜が11時から15時、木曜から日曜が11時から18時の営業で、月曜と火曜は休みです。[8][1]
年表
| 2008年 | ヴィクトリア蒸溜所(当時の名前はヴィクトリア・スピリッツ)が設立される[2][4] |
|---|---|
| 2010年 | フィル・ルクールが加わる[1] |
| 2015年 | マーカー・グループがヴィクトリア・スピリッツを取得する[11][9] |
| 2016年5月 | シドニーの海沿いの建物へ移転し、900リットルの蒸溜器を導入する[11][3] |
| 2016年 | フェアモント・エンプレス・ホテルのアフタヌーンティーに着想を得たジンづくりを始める[12][4] |
| 2017年 | エンプレス1908 インディゴ ジンが誕生(ブランドの紹介による)[12] |
| 2017年 | エンプレス1908がニューヨーク・ワールド・ワイン&スピリッツ・コンペティションで金賞を受賞(蒸溜所の紹介による)[21] |
| 2018年 | ワールド・ジン・アワードでベスト・カナディアン・クラシック・ジンに選ばれる(ブランド・輸入元の紹介による)[18][22] |
| 2022年2月 | バンクーバーに瓶詰め施設を開設する[5][6] |
| 2022年6月 | 米国のマイルストーン・ブランズが蒸溜所を取得する[5][6] |
| 2024年5月 | キューカンバーレモン ジンを米国で発売[15] |
| 2024年10月 | 日本で、都光がエンプレス1908 エルダーフラワーローズ ジンを発売[20] |
| 2025年12月 | ノンアルコールの0.0インディゴを米国で発売[14] |
| 2026年5月 | オリジナル ジンを米国で初めて発売[16][23] |
ヴィクトリア蒸溜所の銘柄
参考資料
- Victoria Distillers
- Empress 1908 Gin(Victoria Distillers)
- Times Colonist
- Gin Foundry
- Milestone Brands(PR Newswire, 2022-06-21)
- The Spirits Business
- Empress 1908 Gin(Victoria Distillers)
- Empress 1908 Gin(Victoria Distillers)
- Times Colonist
- Difford's Guide
- Marker Group(2015〜2022年の親会社)
- Empress 1908 Gin(Victoria Distillers)
- Victoria Distillers
- Empress 1908 Gin(PR Newswire, 2025-12-09)
- Empress 1908 Gin(PR Newswire, 2024-05-07)
- Empress 1908 Gin(PR Newswire, 2026-05-12)
- Empress 1908 Gin(Victoria Distillers)
- 株式会社都光(都光オンライン)
- 株式会社都光
- 株式会社都光(PR TIMES)
- Victoria Distillers
- Empress 1908 Gin(Victoria Distillers)
- Global Drinks Intel
最終更新:2026-09-29 内容の誤りを知らせる