DISTILLERY

トリノ・ディスティラーティ

Torino Distillati

基本情報

所在地イタリア・ピエモンテ州トリノ県モンカリエーリ(Via Montegrappa)[1][2]
運営ヴェルニャーノ家(カルロ、妻ピエラ、娘リタ)[3][1]
設立1992年(工場の建設は1906年)[3][1]
工場モンカリエーリとサンテナの2か所[4][1]
瓶詰めモンカリエーリ8ライン(うち4ラインはミニチュア瓶用)、サンテナ1ライン。ラインの能力は1時間1,000〜6,000本[4]
ジンの蒸溜真空蒸溜(ステンレス製の特注蒸溜器、60℃で3〜4時間)[2][5]
主な製品マルフィ ジン、イタリカス。ほかにブランデー、グラッパ、ラム、ヴェルモット、リキュールなど。受託生産も[1][6]

目次

  1. 1906年に建った、ワインとヴェルモットの工場
  2. 1992年、シーグラムの技術者が工場を買い取った
  3. ほかの会社の酒もつくる、2つの工場
  4. マルフィ ジンは、低い温度の真空蒸溜器でつくる
  5. ブランドが語る物語
  6. 年表

1906年に建った、ワインとヴェルモットの工場

トリノ・ディスティラーティは、イタリア北西部ピエモンテ州、トリノ近郊のモンカリエーリにある蒸溜所です。本社はアール・ヌーヴォー様式の歴史ある建物に入り、生産設備は20世紀に建てられたものだと同社は紹介しています。[1][4]

工場が建ったのは1906年。ピエモンテでワインとヴェルモットを手がけていたフェレーロ・ディ・リッカルド兄弟が、その拠点としてモンカリエーリに建てました。同社によると、一帯は上質なリキュールの産地として知られた土地で、同じ地域の銘柄としてカルパノ、チンザノ、マルティーニ&ロッシの名を挙げています。[3][1]

持ち主が変わったのは1960年代。買い手はカナダの酒類会社シーグラムでした。[3][1]

1992年、シーグラムの技術者が工場を買い取った

転機は1992年です。シーグラム・イタリアで技術と操業の責任者を務めていたカルロ・ヴェルニャーノが、マネジメント・バイアウトでモンカリエーリの工場を買い取りました。経営陣が勤め先の事業を買い取るやり方です。[3][7]

以来、会社はヴェルニャーノ家のものです。カルロが妻ピエラ、娘リタと、信頼する協力者の助けを得て経営にあたっており、同社は、大切にしてきた価値観をリタが受け継ぎ、経験を積んだチームがそれを支えると紹介しています。[3][1]

蒸溜の現場を担う人の名前も伝わっています。Gin Foundryが2016年に紹介したのは、化学者で蒸溜家のデニス・ムーニと、技術者で蒸溜家のベッペ・ロンコの2人です。[5]

ほかの会社の酒もつくる、2つの工場

受託生産の会社でもあります。同社は事業として、受託生産、プライベートブランド、販促用の包装の詰め直しの3つを掲げ、コーシャやオーガニックの認証を受けた酒にも対応するとしています。[6]

請け負うのは、リキュール、ブランデー、蒸溜酒、グラッパ、シロップ。中身の企画から瓶や箱の仕様まで引き受け、これまでにヴェルモット・マルティナッツィ、ブランデー・ルネ・ブリアン、グラッパ・ピアーヴェ、フォアローゼズのバーボンなどを手がけてきたといいます。中小の会社には、製造や法規の助言もします。ただし、ごく少量の生産には対応していません。[6]

工場は2か所です。The Gin Guildによると、モンカリエーリの敷地は1万4,000平方メートルを超え、150万リットル以上を貯蔵できます。同社によると、瓶詰めラインはモンカリエーリに8本あり、そのうち4本はミニチュア瓶用です。ラインの能力は1時間に1,000〜6,000本。瓶の形は100種類ほどまで対応します。[1][4]

もう1か所のサンテナは、もとは倉庫でした。トリノの環状道路から数分の場所にあり、倉庫を生産拠点に改めて、約2,000平方メートルの区画で1時間4,000本を詰めるラインを動かしています。ラインはもう1本増やせる広さがあるといいます。120キロワットの太陽光発電も入れました。目的は電気代とCO2の削減です。拡張の計画もあり、認可を受けた計画では最大9,000平方メートルまで倉庫を建てられ、隣の土地を使ってさらに2,500平方メートルまで増やす交渉も進めていると同社は書いています。[4][1]

設備には、浸漬や天然の抽出液をつくる装置、ジンなどの蒸溜設備、急速冷却もできる冷却装置、蒸溜酒やブランデー、グラッパを安定させる装置がそろっています。The Gin Guildは製品として、ブランデー、グラッパ、ラム、ヴェルモット、リキュール、果実酢を挙げ、代表的な銘柄にベルガモットのリキュール「イタリカス」とマルフィ ジンを挙げています。[4][1]

マルフィ ジンは、低い温度の真空蒸溜器でつくる

マルフィ ジンも、ここで蒸溜しています。つくり方は真空蒸溜です。蒸溜器の中を真空に近い状態にしてふつうより低い温度で蒸溜し、ボタニカルの新鮮さと風味を保つ、というのがブランドの説明です。[2][7]

Gin Foundryによると、蒸溜器はステンレス製の特注品で、真空の状態で60℃に保ち、3〜4時間かけて蒸溜します。コン リモーネでは、アマルフィ海岸産とシチリア産のレモンの皮を小麦のアルコールに浸し、バスケットプレス(かご型の圧搾機)で搾った液を、ジュニパーなどのボタニカルと一緒に蒸溜します。[5]

マルフィは、ヴェルニャーノ家が少量つくっていたジンを、ニューヨークのビガー&リースが2016年に米国で売り出したブランドです。2019年にペルノ・リカールがビガー&リースからブランドを買い取ったときも、同社の発表は、マルフィをモンカリエーリのヴェルニャーノ家が蒸溜するジンとして紹介しました。Whisky.comは、この蒸溜所がつくるマルフィとして、オリジナーレ、コン アランチャ、コン リモーネ、コン アマレーナ、ローザの5種類を挙げています。[8][5][9][10][7]

ブランドが語る物語

オリジナーレの着想は、山登りから来たといいます。2018年の発表時の説明では、ヴェルニャーノとロンコがピエモンテ州の山モンヴィーゾに登ったとき、野生のジュニパーと、雪をいただく山頂から岩でこされた澄んだ湧き水に心を打たれたといいます。2人とも熱心な登山家。この素材をオリジナーレに使うと決めたのは、その山の上だったといいます。[11]

年表

1906年フェレーロ・ディ・リッカルド兄弟が、ワインとヴェルモットの拠点としてモンカリエーリに工場を建設[3][1]
1960年代カナダのシーグラムが工場を取得[3][1]
1992年シーグラム・イタリアの技術・操業責任者カルロ・ヴェルニャーノが、マネジメント・バイアウトで工場を買い取り、トリノ・ディスティラーティとして独立[3][7]
2016年3月ビガー&リースと組んだ「マルフィ ジン」が米国で発売[8][5]
2018年2月「マルフィ ジン オリジナーレ」の発売を発表[11]
2019年4月17日ペルノ・リカールがビガー&リースからマルフィを買い取ることで合意[10][12]
2019年6月20日ペルノ・リカールがマルフィの買収を完了[13][9]
2021年5月17日マルフィ ジン コン リモーネの日本での発売予定日(ペルノ・リカール・ジャパンの案内、2021年4月掲載)[14]

トリノ・ディスティラーティの銘柄

参考資料

  1. The Gin Guild(Ginopedia: Torino Distillati)
  2. Malfy Gin(公式サイト About Us/FAQ)
  3. Torino Distillati(公式サイト History)
  4. Torino Distillati(公式サイト Plants)
  5. Gin Foundry(Malfy Gin、2016年。ページ表記 03/04/2016)
  6. Torino Distillati(公式サイト Services)
  7. Whisky.com(Distillery: Torino Distillati)
  8. The Spirits Business(2016年3月7日)
  9. The Spirits Business(2019年6月20日)
  10. Pernod Ricard(2019年4月17日 買収合意の発表)
  11. Bar Business Magazine(2018年2月14日)
  12. The Spirits Business(2019年4月17日)
  13. Pernod Ricard(2019年6月20日 買収完了の発表)
  14. イエノミスタイル(株式会社コンテンツブレイン運営。酒類・食品卸イズミックの新商品情報欄「イズミック マーケットアイ」、2021年4月6日)

最終更新:2026-09-29 内容の誤りを知らせる